Dublin Core Metadata Element Setについて ― 現在の状況と利用例

杉本重雄
図書館情報大学
〒305-8550 茨城県つくば市春日1-2
sugimoto@ulis.ac.jp

概要

Dublin Core Metadata Element Set(Dublin Core)はインターネット上での情報資源の発見(Resource Discovery)を目的として提案されたメタデータである。Dublin Coreは多様な分野の様々な情報資源に対応するため基本的な15要素を定めており,現在ネットワーク上での情報資源を表すためのコアメタデータとして注目されている。Dublin Coreは1995年春に開かれたメタデータに関するワークショップで提案され,現在まで6回のワークショップとメーリングリストでの議論を通じて開発が進められてきた。本稿では,はじめにDublin Coreの概要を述べ,次にDublin Coreの現在の状況を簡単に解説する。また,筆者自身が携わったDublin Coreを用いた例について示す。

キーワード:

Dublin Core Metadata Element Set (Dublin Core),Resource Description Framework (RDF),コアメタデータ,情報資源の発見,インターネット,ディジタル図書館

Dublin Core Metadata Element Set - Current Status and Case Studies

Shigeo Sugimoto
University of Library and Information Science
Tsukuba, Ibaraki 305-8550, Japan
sugimoto@ulis.ac.jp

abstract

Dublin Core Metadata Element Set (Dublin Core) is a metadata description scheme aimed to resource discovery in the Internet. Dublin Core defines 15 core elements to describe metadata of various information resources. It is gaining acceptance as a core metadata scheme for networked information resources. Dublin Core was first proposed at the Metadata Workshop held at Dublin, Ohio in March 1995, and has been developed based on discussions at the series of workshops and on the mailing list. This article firstly shows the overview of Dublin Core, secondly discusses the present status, and lastly shows a few case studies.

Keywords:

Dublin Core Metadata Element Set (Dublin Core), Resource Description Framework (RDF), Core Metadata, Resource Discovery, Internet, Digital Library

1. はじめに

 メタデータは「データに関する(構造化された)データ」と定義される[1]。現在,インターネット上には非常に多数の情報資源があり,それら情報資源へのアクセス効率を高めるには情報資源に適したメタデータが必要である。図書館や博物館・美術館では所蔵資料の目録や索引といったメタデータが作られ,資料の管理やアクセスに利用されてきた。しかしながら,インターネット上の資源はあまりにも多様であるため従来の詳細に決められたメタデータの規則をそのまま適用することは困難である。Dublin Core Metadata Element Set(一般にDublin Coreと呼ばれる)はインターネット上の様々な情報資源の発見を目的として提案されたメタデータである[2]。
 Dublin Coreは一連のワークショップと公開のメーリングリストでの議論を基礎にして形作られてきた,いわば草の根メタデータである。Dublin Coreを作り上げてきたコミュニティは図書館や博物館・美術館の人たちが中心となっているが,WWW上でのメタデータという目的ということからWWW分野を始め多彩な背景の人たちがDublin Coreの開発に貢献してきた。
 Dublin Coreはインターネット上の文書のメタデータやSubject Gatewayの開発のプロジェクトで実際に利用されている。また,インターネット上で直接提供されている資源に限らずより広い範囲の資源を,インターネットを利用して見つけ出すためのメタデータとして利用されようとしている。
 以下,本稿ではDublin Coreの概要,1998年11月にワシントンの議会図書館で開催された第6回ワークショップ等など最近の話題,さらに筆者自身が携わっているDublin Coreに基づくメタデータの作成と利用の例について述べる。また,付録としてDublin Coreの参照記述を添えた。

2. Dublin Coreの概要

2.1 背景

 Dublin Coreは1994年のWWWに関する国際会議での立ち話がきっかけとしてはじまったそうで,その後,1995年3月にNCSAとOCLCが主催し米国オハイオ州ダブリン(Dublin, Ohio)で開催された第1回のMetadata Workshopで13項目の要素からなるメタデータ(Core Metadata Element Set)が提案され,これがDublin Coreの名前の由来となっている。その後,下に示すように6回のワークショップが開かれ議論が進められてきた[3]。
・ 第2回:1996年4月,イギリスのウォーリック(Warwick)。複数のメタデータ規則に基づく記述のための基本概念であるWarwick Frameworkが提案された[4]。また,SGMLやHTMLによる記述の提案もなされた。
・ 第3回:1996年9月,ダブリン。イメージデータに関する議論と15項目のエレメントの提案。
・ 第4回:1997年3月,オーストラリアのキャンベラ(Canberra)。サブエレメントおよびQualifierの議論,ならびにHTMLでの記述方式に関する議論。
・ 第5回:1997年10月,フィンランドのヘルシンキ(Helsinki)。15項目の基本エレメントの合意(DC Simple)。このワークショップの結果Dublin Coreの標準化への動きが進められた。
・ 第6回:1998年11月,アメリカのワシントン(Washington DC)。DC Simple(DC1.0)の標準化をさらに進めること,Qualifier付きDublin Core(DCQ1.0)の議論をさらに進めること,さらにこれまでの経験と他のメタデータ規則との関連を考慮した次バージョン(DC2.0)に関する議論を始めることに関する合意。
なお,Dublin Coreの標準化に関しては,現在インターネット上での標準化に関してIETFでのRFC2413が出されている。また,NISO(アメリカ),CEN(ヨーロッパ)およびISOでの標準化が進められることになっている。

2.2 基本15エレメント

 下に15エレメントの概略を示す。より詳しい定義は付録を参照されたい。Dublin Coreの記述形式については2.4節で述べる。Dublin Coreの記述において下の15エレメントの各々について,省略が可能であり,かつ繰り返しが可能である。たとえば,複数の著者がいる場合,エレメントを著者の数だけ繰り返して記述することができる。また,「ラベル」はエレメントの識別のために用いられる言語にはよらない表現であり,コンピュータによるエレメントの識別にも利用される。HTMLやXMLによる記述ではエレメントの名前の指示にはここで定義した名前を用いる必要がある。(ラベルはトークン(token)と呼ばれることもある。)

表1 Dublin Coreの15エレメント
要素名 ラベル 説明
(1)タイトル Title オブジェクトの名前
(2)著者あるいは作者 Creator 情報資源の内容に関して責任を持つ人または組織
(3)主題およびキーワード Subject 情報資源に述べられたトピック
(4)内容記述 Description アブストラクトやイメージデータの説明など内容に関する記述
(5)公開者(出版者) Publisher 情報資源を現在の形態にしたもの(出版社,大学など)
(6)寄与者 Contributor 著者ではないが文書の内容の作成に関わった人または組織(編集者や翻訳者等)
(7)日付 Date 現在の形で利用できるようになった日付
(8)資源タイプ Type ホームページ,小説,詩,辞書といった情報資源の型
(9)形式 Format PostscriptファイルやWindows実行形式といった,情報資源のデータ形式
(10)資源識別子 Identifier 情報資源を一意に識別するための番号あるいは名前
(11)情報源(出処) Source 情報資源の出所となった情報資源を一意に示す番号もしくは文字列
(12)言語 Language 情報資源の内容を記述している言語
(13)関係 Relation 他の情報資源との関連づけ
(14)対象範囲(空間的・時間的) Coverage 地理的場所や時間的な内容に関する情報資源の特性
(15)権利管理 Rights 著作権記述などの権利に関する記述や利用条件に関する記述へのリンク(URLもしくは何らかのURI)

2.3 いくつかのキーポイント

 Dublin Coreの位置付け,特色を理解するためにいくつかのキーポイントを示す。

(1)インターネット情報資源のためのコアメタデータの必要性
 Dublin Coreはインターネット上で提供される様々な文書(ないしは文書様オブジェクト,Document Like Object(DLO))のためのメタデータを記述し,DLOをネットワーク上で発見するために提案されたものである。Dublin Coreは,いわばWWW上のDLO用の目録規則と見ることもできる。ところが,従来の目録とは下記のような点で異なっている。(注:インターネット上には「Document(文書)」とは言いづらい様々な資料が提供されている。そのため,最近ではあまりDLOということばは用いられず,「Resource(ここでは情報資源と訳す)」が用いられている。次の段落以降では情報資源,もしくは単に資源と記す。)

 Dublin Coreは,素人にでも書け,多様な分野の情報資源の記述に適用できるという観点から少数の基本的要素(Core Elements)のみによるメタデータ記述を目指してきた。Dublin Coreのは単にシンプルなメタデータとして理解すべきではなく,様々な分野に共通な要素によるメタデータ記述,すなわち様々な分野に(できるだけ)共通の概念としてみとめられた属性の要素の集まりとして定義したコアメタデータとして提案されたものであることを忘れてはならない。

(2) Semantic Interoperability
 Semantic InteroperabilityはDublin Coreにおける忘れてはならないキーワードである。インターネットという巨大な分散環境で利用することを前提にしているので,メタデータは異なる環境で作られ,かつ使われる。そのため,メタデータの相互利用性は非常に重要である。すなわち,メタデータのエレメントの意味(セマンティクス)定義が明確に与えられなければならす,かつ様々な分野で適用できなければならない。これまでのDublin Coreでの議論がもっぱらエレメントの意味定義に費やされてきているのはそのためである。また,メタデータは人間が読んで理解できるものでなければならず,かつコンピュータによっても利用できるものでなければならない。(たとえば,索引付けのためにタイトルや主題といったエレメントの意味が利用できねばならない。)

(3) Dublin Coreの記述形式(シンタックス)
 記述形式(シンタックス)に関する定義を与えないと実際の記述を行うことができない。ところが,シンタックスを厳密に決めることは利用者環境の不均一さや利用者の好みの問題などのために容易ではない。また,シンタックスの定義がセマンティクスに影響することを完全に避けることは困難である。一方,WWWの進化の速さを考えるとシンタックスを固定することは得策とは考えにくい。そのため,Dublin CoreではHTMLでの記述方法に関する推奨やWWWのHTMLのグループへの要望等は行ってきたが,Dublin Core自身として記述形式を定めることはほとんどしてこなかった。現在では,WWW上でのメタデータ記述としてResource Description Framework(RDF)が与えられているので,基本的に将来のDublin Core記述はRDFに基づくものになっていく。

(4) Simple Dublin CoreとQualified Dublin Core
 Dublin Coreによる記述には大きく分けて二つの考え方がある。ひとつは基本要素を更に細かく分けることはしないというもので,もう一方は基本要素をさらに細かく分けて記述するというものである。後者は前者を含むという風にも理解できるが,コアメタデータとしてのより細かな要素(基本要素の部分要素)の定義は一般に難しくなる。前者の考え方によって定義されたものをSimple Dublin Core(あるいはDC Simple(DCS)),後者によるものをQualified Dublin Core(あるいはDCQ)と呼ばれる。現在までに標準化の作業に取り掛かられているものはSimple Dublin Coreである。(注:Qualified DCではエレメントを細分化・詳細化するためのQualifierを用いてメタデータを表す。より詳細化・細分化されたエレメントをサブエレメントと呼ぶ。また,サブエレメントはサブストラクチャと呼ばれることもある。)
 たとえば,著者の名前,所属,住所,電子メールアドレスといった項目を書く場合,DC Simpleにしたがうとこれらを一まとめにして書いてしまうか,あるいはデータの中に属性を埋め込んで区別するしかない。一方,Qualified DCに従うとこれらを適切なサブエレメントに分けて定義することができる。

DC Simpleで定義した例(HTMLのMETAタグを用いたもの)
<META name="DC.Creator" content="Sugimoto, Shigeo, University of Library and Information Science, Tsukuba, Ibaraki, Japan, sugimoto@ulis.ac.jp">
Qualified DCで定義した例
<META name="DC.Creator.Name" content="Sugimoto, Shigeo">
<META name="DC.Creator.Affiliation" content="University of Library and Information Science">
<META name="DC.Creator.Address" content="Tsukuba, Ibaraki, Japan">
<META name="DC.Creator.Email" content="sugimoto@ulis.ac.jp">

 こうして見るとサブエレメントを用いて記述した方が記述の意味が明確であることは明らかである。しかしながら,様々な分野の情報資源が提供されるネットワーク上でのメタデータの流通を考えた場合,共通のサブエレメントの定義をどのようにするかが難しい問題であることも容易に理解できる。

(5) 1:1原則 (One to One Principle)
 実際にメタデータを記述する際,どういう単位を対象に記述するのかが問題である。冊子体の資料の場合であれば,記述対象が比較的明確であるのに対し,ディジタル資料の場合「ひとまとまり」の資料が何をさすのかが必ずしも明確でない。たとえば,ひとつの論文が章毎に分けられ複数のファイルで構成されている場合,論文にひとつのメタデータを与えるのか,それとも各章毎(すなわちファイル毎,いわばURLを与えられている実体毎)にメタデータを与えるのかが問題である。これまでDublin Coreでは原則として対象資源とメタデータは1対1で与えるとしている。筆者は,上の論文の例であれば各章毎に与えることになると理解している。また,ひとつの論文が何枚ものページイメージでできている場合,論文全体とページイメージ毎のメタデータがそれぞれ作られることになる。
 ディジタルコンテンツの場合,物理的な資料をディジタル化して作られることも多い。物理的な対象物をディジタル化して作った資料のメタデータを書く場合,対象資源として「物理的な対象物」と「ディジタルイメージ」のどちらをとらえるのかといった問題がある。たとえば,彫刻を写真にとってディジタル化したものの場合,Creatorは彫刻の作者なのか,それとも写真家なのかが問題になる。Creatorは「知的内容の想像に関わった人」である。単なるディジタル化のための撮影であればCreatorは彫刻家である。そうでなく写真としての創造性が認められる場合には写真家がCreatorであろう。その場合には彫刻,写真それぞれのメタデータが必要になり,またそれらの間の関係を表す必要が生じる。「原作(古典)の現代語版の翻訳を演じた劇のビデオをディジタル化したもの」といった例を考えると段々混乱してくるようである。

(6) 多言語 (Multilinguality)
 インターネット上の情報資源のメタデータを表す上で多言語の問題は重要な問題である。Dublin Coreのワーキンググループの一つにMultilingualityグループがあり,この問題を検討している[5]。Simple Dublin Coreの場合,エレメントの意味は言語とは無関係に,世界共通のものとして与えられている。また,記述方法に関しても計算機が読むための形式には統一して与えられたラベルを用いてエレメントを識別すること,値の記述言語を指示するためにlang属性を利用することが了解されている。現在まで多言語グループではSimple Dublin Coreの参照記述(Reference Description)の翻訳を進めてきており,12言語への翻訳が終わり,他に6言語への翻訳が進められている。各言語による参照記述には要素名の翻訳も含められている。翻訳された要素名は基本的に人間が読むためのものであり,ユーザインタフェースなどに用いられる。一方,計算機は統一したラベルを検索や索引付けに利用する。
 言語間でのSemantic Interoperabilityを失わないためには英語で作られる標準定義の翻訳による意味の食い違いが生じないようにすることが重要である。また,Dublin Coreを世界中で利用するには言語(あるいは文化)固有の情報の記述を導入せざるを得ない。たとえば,日本語の場合,「よみ」は重要な情報である。利用が広がるに連れて言語固有の情報がメタデータの中に記述されることになるであろう。そうした場合でもsemantic interoperabilityを損なわないようにすることが求められる。

2.4 記述に関して

 先に述べたようにDublin Coreの活動の中ではシンタックスの定義はそれほど熱心にはなされてきていない。WWW上でのXMLの利用が広がりRDFに基づく記述が一般化するまでは,WWW文書の中への埋め込みを目的とした記述はHTMLでせざるを得ない。しかしながら,HTMLのMETAタグを用いた記述にはグルーピングの問題(後述)がある。メタデータとしてもとの資源とは別に記述し蓄積する場合,筆者自身はSGML(もしくはXML)を用いて適切なDTDを決めてDublin Coreメタデータ記述をしておけばよいと考えている。これはDublin Coreの参照記述が定義する範囲での記述同士の間では変換を容易に行えるためである。
 参考のため,HTMLによる記述例と独自のDTDに基づきSGMLで記述した例を示す。

 Dublin Coreでは基本的にフリーテキストによる記述を基本としている。しかしながら,まったく自由な形式の記述のみにしてしまうとデータの解析が困難になる。そこである程度の記述形式の基準を与える必要がある。Dublin Coreの記述には各エレメントに関して,エレメントの値の他,エレメントの値を記述するための基準(scheme)と値の記述言語(lang)を与えることになっている。たとえば,キーワードをLCSHに基づいて与えればschemeはLCSHである。また,もしエレメント値を日本語で書いてあれば記述言語を表すlangはjaである(注)。このほか,各エレメントには記述のための基本的な指針が与えられており,メタデータの品質管理が可能なように考えられている。たとえば日付の記述形式の場合ISOで決められたyyyy-mm-dd(年月日)やyyyy(年)といった形式を用いることを推奨している。エレメントよっては,たとえば形式(フォーマット)エレメントのように,あらかじめ用意された値の中から値を選択することを推奨しているものもある。こうした記述の推奨方式については各エレメントに関するワーキンググループ等で議論が進められており,現時点での推奨についてはUser Guideグループのワーキング・ドラフトで知ることができる[6]。

(注:対象資源の記述言語を表すLanguageエレメントとエレメントの記述言語を表すlang属性とを混同しないように注意が必要である。たとえば,<META name="DC.Language" content="英語" lang="ja">と<META name="DC.Language" content="en">あるいは<META name="DC.Language" content="English">はいずれも対象資源が英語で記述されていることを意味する。ただし,HTMLによるメタデータの記述の場合,エレメントの記述言語は英語(lang=en)がデフォルト値である。)

2.5 Dublin Core を利用したプロジェクト


 Dublin Coreのホームページ[2]から数多くのプロジェクトを見つけることができる。また,第6回Dublin Coreワークショップでもいくつかのプロジェクトの報告があった。たとえば,いくつかの博物館が共同して進めているCIMI(Consortium for the Computer Interchange of Museum Information)の報告ではDublin Coreに基づくメタデータの多くの部分を機械的な変換によって生成したそうである。オーストラリアの政府情報を扱うAGLS(Australian Government Information Locator Service)では15エレメントのほかにサービス(service)や機能(function)に関するエレメントを付加しているなどの報告があった。このほか,Z39.50にDublin Coreの15エレメントの定義が加えられていることなどの報告があった。
 図書館情報大学附属図書館ではDublin Coreに基づいて図書館情報学や図書館に関するネットワーク情報資源のメタデータの作成を進めることになっている。新たなメタデータはコンピュータの助けを借りた人手による記述が中心になる。一方,既存のメタデータ(たとえばOPAC)との統一的な検索インタフェースを作る上でDublin Coreを基礎とすることにしている。
 以上のように,Dublin Coreに基づくメタデータは必ずしも人手で一から作るというものばかりではなく,機械的な変換によって作り出したデータの利用,検索のための統一的なインタフェースのための利用が考えられる。これからは個々のデータベースへアクセスして検索するというよりは,ネットワークやディジタル図書館のような大きな情報空間の中から資源を探すことが多くなると考えられるので,そこでのコアメタデータの重要性は疑えない。

3. Dublin Coreの現在の状況

3.1 第6回Dublin Coreワークショップから

 去る11月2日から3日間に渡ってワシントンの議会図書館で第6回のDublin Coreワークショップが開かれ,筆者も参加した。参加者は約100名,16カ国(日本からは5名)であった。ワークショップに先立ち11月1日にDublin Coreのグループが作っているTechnical Advisory Committee (TAC)とPolicy Advisory Committee (PAC)のミーティング(TAC-PACミーティング)が開かれ,そこでDublin Coreの開発活動の今後についての議論がなされた。それに加えて知的財産権管理のためのメタデータ規則の開発を進めているINDECSグループにおける考え方などに関してGodfrey Rus氏tの講演があった。(同氏は文献[7]で知的財産権管理のためのメタデータの観点からDublin Coreに対する批判的な記事を書いている。なお,同氏はワークショップでも講演した。)
 筆者が理解した範囲で今回のワークショップを振り返ってみたい。今回のワークショップでは現在までに定義されたサブエレメントを持たないDublin Core(Simple Dublin CoreやDC Simpleと呼ばれる)に関しては今後基本的な定義変更をすることはせず,定義の明確化や利用経験に基づく修正にとどめることにし,現在のDC Simple(RFC 2413で定義されているもの)をバージョン1.0 (DC1.0)とした。サブエレメントを持つDublin Coreの検討を引き続き進めqualifier付きDublin Coreバージョン1.0 (DCQ1.0と呼ばれる)の定義を行うこと,さらにDavid Bearmanからのエレメントの見直しに関する提案(注)やRights Managementのためのメタデータを検討しているINDECSグループなどとも協調しながらバージョン2.0(DC2.0)の検討を始めることを了解した。
(注:David Bearman氏はCreator,Publisher,Contributorといった人あるいは組織が情報資源の発信に関して果たした役割によって分けられているエレメントを実際に記述する際,その区別が必ずしも明快にはできないことなどの理由からこれらをひとまとめにしてAgentとでも呼んではどうかという提案をワークショップ前にしていた。ワークショップではRust氏の講演内容なども踏まえエレメントの性質による再分類について講演した。なお,Dublin CoreとRights Managementの両方の観点からの論文がBearman,Rustほかによって発表されている[8]。)
 筆者は以下の点に注意しなければならないと思っている。
 Dublin Coreの役割は情報資源の発見であり,知的財産権やアクセス制限はDublin Coreの直接的な応用分野ではない。15エレメントの中に権利管理のためのエレメントがあるとは言うものの,実際の知的財産権管理やアクセス制限に使うというよりは,そうした情報へのリンクを持つという位置づけに近い。知的財産権を扱うメタデータのグループとの協調が進むことは,情報資源の発見と発見された資源の利用のためのメタデータがRDFという共通基盤の上に作り上げられる可能性を意味する。その意味で今回のワークショップは大きな転換点であったように思える。
 以上のほか,Dublin Coreの発展に伴ってDublin Coreを維持管理するための組織に関する議論も行われた。これまではメーリングリストとワークショップを基本とする草の根組織によって進めてきたが,さらに標準化と利用を勧めていく上ではよりしっかりした体制が必要であるためどのような体制で今後進めていくかに関する提案がなされた。(具体的な方法については今後出されるであろうワークショップのレポートを待つことにしたい。)

3.2 Resource Description Framework

 Dublin Coreに基づくメタデータの記述方法としてもっとも重要なものはWWWコンソーシアム(W3C)で進められているResource Description Framework (RDF)である。RDFはWWW上でいろいろなメタデータ規則に基づいてメタデータを記述するための形式と意味を定義している。また,RDFは第2回ワークショップで提案されたWarwick Frameworkの影響を受けている。したがって,将来のDublin Coreメタデータ記述はRDFに基づいて記述されることになる。RDFの詳細はW3Cのメタデータのページ[9]から選られる。またRDFのモデルとシンタックスに関するProposed Recommendation[10]や文献[11],[12],[13]等を参照していただきたい。

4. 利用例

4.1 図書館情報大学ディジタル図書館システム

 図書館情報大学附属図書館が1999年2月から開始したディジタル図書館システムの主要な機能は図書館および図書館情報学に関するサブジェクトゲートウェイである。この機能を構築するために現在WWW上に提供される当該分野の情報資源を収集し,それらのメタデータの蓄積を進めている。収集は機械的に行い,メタデータの作成は人手によっている。また,メタデータ作成と蓄積のためにデザインしたユーザインタフェースとデータベースを用意している。なお,本システムに関する詳しい説明は別の機会に譲りたい。
 このシステムではSimple Dublin Coreの15エレメントを基礎にして下記の項目を加えている。
  1. 文字コード
  2. 情報資源の発信国
  3. 各エレメントのデータの「よみ」
また,下に示す例のように蓄積するデータはSGMLのタグ付きテキストである。

<Title>ULIS Library HomePage New</Title>
<Creator lang=ja>図書館情報大学附属図書館</Creator>
<Subject lang=ja>図書館情報大学</Subject>
<Subject lang=ja>大学図書館</Subject>
<Subject lang=ja>図書館情報大学附属図書館</Subject>
<Description lang=ja>図書館情報大学附属図書館のトップページ。以下の…</Description>
<Date>1998-11-06</Date>
<Type>text</Type>
<Identifier Scheme=URL>http://www.ulis.ac.jp/library/</Identifier>
<Language>ja</Language>
<Format>text/html</Format>
<Charcode>x-euc-jp</Charcode>
<Country Scheme=ISO3166>jp</Country>

4.2 Dublin Coreを利用した横断検索機能を持つ雑誌記事検索閲覧システム

 筆者の研究室ではDublin Coreを利用して雑誌記事の検索閲覧を行うシステムを作成している。このシステムでは,複数の雑誌(学術雑誌および国際会議論文集)の記事単位に作成したメタデータを利用して雑誌をまたがった検索を行うことができる。雑誌記事のメタデータはDublin Coreに基づくものとNACSIS-ELSの書誌データを基礎として作成したものがある。Dublin Coreに基づくものは第1回ワークショップで提案された13項目定義に基づくものと現在の15項目定義に基づくものがある。本システムではDublin Coreを基本のメタデータとし,他のメタデータとの間での要素の対応関係を定義した表(Crosswalkと呼ぶ)を準備して検索に利用している。下にメタデータ記述の例を示す。(なお,Dublin CoreのデータのDTDは本研究で独自に決めたものである。また,必ずしも最適の形式であるとは言えない。)

15エレメントのDublin Core

2.4節で示した例を参照。

13エレメントのDublin Core

<dublinCo>
<subject>Digital library</subject>
<subject>電子図書館</subject>
<subject>library</subject>
<subject>図書館</subject>
<subject>library collections</subject>
<subject>蔵書</subject>
<subject>information resources</subject>
<subject>情報資料</subject>
<subject>intellectual</subject>
<subject>知的</subject>
<subject>Incommensurate data</subject>
<subject>比較できないデータ</subject>
<subject>work(intellectual entity)</subject>
<subject>知的作業</subject>
<title>Intellectual Realities and the Digital Library</title>
<author>Francis Miksa</author>
<author>Philip Doty</author>
<objectTy scheme=AACR2>computer file</objectTy>
<form scheme=IMT>text/html</form>
<identifi scheme=URL>http://www.csdl.tamu.edu/DL94/paper/miksa.html</identifi>
<relation type=ContainedIn scheme=URL>http://www.csdl.tamu.edu/DL94/</relation>
<source scheme=ISSN></source>
<language>English</language>
<coverage></coverage>
</dublinCo>

NACSIS-ELSに基づくデータ (図書館界vol.47, no.1より)

<article journal = "TKK" vol = "047" num = "01" page = "1" page2 = "1" date = "1
9950501" txtl = "jpn">
<atl><nihongo.title>大震災から75日</nihongo.title></atl>
<author>
 <g.name><kanji>正美</kanji><furigana>マサミ</furigana>
 <english>Masami</english></g.name>
 <f.name><kanji>柴田</kanji><furigana>シバタ</furigana>
 <english>Shibata</english></f.name>
</author>
<body><sec>
 <fg><fgart file = "TKK04701/00000005.tif"></fgart></fg>
</sec></body>
</article>

 この例ではDublin Core同士でもCreatorとAuthorというように名前の対応が必要となっている。Dublin Core(15要素)のTitleとCreatorに対してELSのatlとauthorを対応づけている。なお,データの変換は行わず検索時に適切なタグ名を表から得て検索している。また,本システムでは同様な対応表を用いることでULIS OPACのデータとの横断検索も実験した。また,本システムではタグ内の属性値の検索は行っていないため,ELSデータの日付(Dateに対応)や巻・号・ページのデータ(Sourceに対応)は照合対象としていない。

5. おわりに

 メタデータはインターネット上での情報資源の利用やディジタル図書館においてキーとなる技術の一つである。たとえば,NSF/NASA/ARPAが進めたDigital Library Initiative (Phase 1)の中でも中心的な話題の一つであった[14]。NSFとEUが共同で進めたディジタル図書館に関する研究戦略を議論する5つのワーキンググループの中にメタデータを議論するワーキンググループが含まれており,中長期に渡る研究項目に関する提案をしている[15][16]。
 Dublin Coreはネットワーク上での情報資源の発見を目的としたメタデータである。現在まで,いくつものプロジェクトで利用されてきており,これからも利用は広がっていくと考えられる。ネットワーク上での利用を目的としてメタデータには,Dublin Core以外にも知的財産権やRating,プライバシーに関するメタデータの開発も進められている。将来,インターネット上での情報資源の流通には様々なメタデータを相互に利用することが必要になると考えられる。

参考文献

[1] Dempsy, L., Heery, R., Metadata:A Current View of Practice and Issues, Journal of Documentation, Vol.54, No.2, pp.145-172, 1998.3
[2] Dublin Coreのホームページ,http://purl.org/dc/
[3] Workshop Series(一連のDublin Coreワークショップ),http://purl.org/dc/about/workshop.htm
[4] Lagoze, C., The Warwick Framework, A Container Architecture for Diverse Sets of Metadata,D-Lib Magazine, 1996.7/8,http://www.dlib.org/dlib/july96/lagoze/07lagoze.html
[5] Baker, T., Language for Dublin Core, D-Lib Magazine, 1998.12,http://www.dlib.org/dlib/december98/12baker.html
[6] Hilman, D. (ed), User Guide Working Group, User Guide Working Draft 1998-07-31, http://purl.org/dc/documents/working_drafts/wd-guide-current.htm
[7] Rust, G., Metadata: The Right Approach, D-lib Magazine, July/August 1998, http://www.dlib.org/dlib/july98/rust/07rust.html
[8] Bearman, D. et al., A Common Model to Support Interoperable Metadata - Progress report on reconciling metadata requirements from the Dublin Core and INDECS/DOI Communities,D-Lib Magazine,1999.1 ,http://www.dlib.org/dlib/january99/bearman/01bearman.html
[9] W3Cメタデータグループのホームページ,http://w3c.org/Metadata/
[10] Lassila, O., Swick, R.R. (eds), Resource Description Framework (RDF), Model and Syntax Specification, W3C Proposed Recommendation 05 January 1999, PR-rdf-syntax-19990105, http://www.w3.org/TR/PR-rdf-syntax/
[11] 浦本直彦,武田浩一,インターネットでの情報の記述と交換方式の最近の動向,人工知能学会誌, Vol.13, No.4, pp.519-527, 1998.7
[12] 門間敦仁,XMLとメタデータ,情報の科学と技術,Vol.49,No.1,pp.16-22,1999.1
[13] 杉本重雄,メタデータについて-Dublin Coreを中心として-,情報の科学と技術,Vol.49,No.1,pp.3-10,1999.1
[14] NSF/DARPA/NASA Digital Libraries Initiative Projects
http://www.cise.nsf.gov/iis/dli_home.html
[15] Sch舫ble, P. and Smeaton, A. F. (eds), An International Research Agenda for Digital Libraries: Summary Report of the Series of Joint NSF-EU Working Groups on Future Directions for Digital Libraries Research, 1998.10, http://www.iei.pi.cnr.it/DELOS/NSF/Brussrep.htm
[16] Peters, C., DELOS Workshop on Emerging Technologies in the Digital Libraries Domain,ERCIM News No.36,1999.1,http://www.ercim.org/publication/Ercim_News/enw36/peters.html

付録:Dublin Core エレメントの記述

(この文書はDublin Coreの参考記述より翻訳したものであり,http://www.DL.ulis.ac.jp/DC/に置かれている。)

 下記はDublin Core Metadata Element Setの定義の基準となる参照記述(reference definition)である。定義済みの限定子(qualifier)を含め,最新の参照記述はDublin Coreのホームページ(http://purl.org/dc/)に置かれる。
 下記のエレメントの定義の記述において,各エレメントは,メタデータ記述に用いるためのエレメントの構文的仕様定義をより簡明にするための1語で表された形式的ラベルに加えて,各エレメントの意味を理解しやすい形で表すための記述的な名前(descriptive name)を持っている。
 HTMLのように大文字と小文字を区別しない環境で利用する場合もあるが,XML (Extensible Markup Language,http://www.w3.org/TR/PR-xml)のような大文字と小文字を区別する環境で利用するためにメタデータが抽出あるいは変換して利用される場合もあるので,下記に示したエレメントラベルの慣用に従って常に大文字と小文字を使い分けることを強く推奨する。
 各エレメントは省略可能であり,かつ繰り返し可能である。さらにメタデータエレメントはいかなる順序で現れてもかまわず,順序は意味を持たない。
 グローバルな相互利用性を向上するため,エレメントの値の記述の際に一定の統制された語彙の中から値を選ぶことが推奨されているものが多くある。また,この統制語彙とは別に,ある地域,あるいは分野の中での相互利用性を目的として作り上げられた統制語彙を用いることがあってもかまわない。
 情報資源の中にエレメントが埋め込まれている場合であっても,あるいは埋め込まれていない場合でも,メタデータエレメントの意味は不変である。
 メタデータエレメントはそれが表す情報のクラスないしは範囲によって次の3グループに分けることができる。(1)主として情報資源の内容に関係するエレメント,(2)主として知的財産として情報資源を見た場合に関係するエレメント,(3)主として情報資源の具現化に関係するエレメント。
内容 知的財産 具現化
Title Creator Date
Subject Publisher Type
Description Contributor Format
Source Rights Identifier
Language
Relation
Coverage

  1. タイトル
    ラベル:Title
    当該情報資源に与えられた名前。一般には作者もしくは公開者によって与えられる。

  2. 著者あるいは作者
    ラベル:Creator
    情報資源の知的内容の創造に主たる責任を持つ人あるいは組織。たとえば,著述された文書の場合の著者,視覚的資料の場合の画家や写真家,イラストレータ。

  3. 主題およびキーワード
    ラベル:Subject
    情報資源のトピック。典型的には,情報資源の主題あるいは内容を説明するキーワードや句。統制語彙や正式な分類体系に基づいて記述することが推奨される。

  4. 内容記述
    ラベル:Description
    情報資源の内容に関する説明記述。文書の場合の抄録,視覚的資料の場合の内容記述など。

  5. 公開者(出版者)
    ラベル:Publisher
    たとえば,出版社,大学の学科,企業体など,情報資源を現在の形態で利用可能にしたことに責任を持つ実体。

  6. 寄与者(他の関与者)
    ラベル:Contributor
    Creatorエレメントには示されたものではない人あるいは組織で,当該情報資源を作り出すに当たって知的に重要な寄与をしたもの。Creatorエレメントに示された人あるいは組織に次いで大きな寄与をしたもの。(たとえば,編集者,翻訳者,イラストレータ)

  7. 日付
    ラベル:Date
    当該情報資源が作成された,あるいは有効になった日付。この日付はCoverageエレメントに書かれる日付と混同してはならない。Coverageエレメントに書かれるものは当該情報資源の知的内容に何らかの関係を持つ日付である。YYYYおよびYYYY-MM-DDの形式で書くISO 8601 [W3Cテクニカルノートhttp://www.w3.org/TR/Note-datetimeの(ISO8601に基づく)日付と時刻]が定義する形式に基づいて記述することが強く推奨される。たとえば,この形式では1994年11月5日は1994-11-05と表される。

  8. 資源タイプ
    ラベル:Type
    情報資源の種類。たとえば,ホームページ,小説,詩,ワーキングペーパー,テクニカルレポート,エッセー,辞書・事典など。相互利用性を保つために,一連のワークショップで現在作成を進めている用語のリストの中から選ぶようにしなければならない。

  9. 形式(フォーマット)
    ラベル:Format
    情報資源のデータフォーマット。情報資源を表示したり動作させたりするのに必要なソフトウェアや場合によってはハードウェアを識別するために利用できる情報を記述する。相互利用性を保つために,一連のワークショップで現在作成を進めている用語のリストの中から選ぶことが強く推奨される。

  10. 資源識別子
    ラベル:Identifier
    当該情報資源を一意に識別するための文字列もしくは番号。URLや(実現された際には)URNはネットワーク上の情報資源に関する識別子の例である。国際標準図書番号(ISBN)や他の標準化された名前のように全世界的に一意に定まる識別子もこのエレメントの値として適切なものである。

  11. 情報源(出処)
    ラベル:Source
    当該情報資源を作り出す元になった別の情報資源に関する情報。一般に,エレメントには当該情報資源に関する情報のみを記述することが推奨されているが,本エレメントには当該情報資源を見つけ出すために有用である別の情報資源に関する日付,作者,形式,識別子あるいは他のメタデータを書くことができる。実際の経験からは本エレメントの代わりに別の情報資源との関係をRelationエレメントを用いて表すことが推奨される。たとえば,1996年に映画化されたシェークスピア劇に関する記述の中で1603年という値をSource エレメントに書くことができるが,この場合当該情報資源のRelationエレメントの中では“IsBasedOn”関係を用いて1603年という記述を含む情報資源を参照する方が望ましい。当該情報資源が元の形式である場合には情報源エレメントは適用できない。

  12. 言語
    ラベル:Language
    情報資源の知的内容を記述するために用いられている言語。実際的に利用するには,このエレメントの記述は,たとえばen,de,es,ja,thやzhといったRFC1766[言語識別のためのタグ,http://ds.internic.net/rfc/rfc1766.txt]に適合している要求される。

  13. 関係
    ラベル:Relation
    別の情報資源の識別子および当該情報資源とその情報資源との間の関係。このエレメントには関連する情報資源間のリンクや指示すべき情報資源記述を書くことができる。たとえば,作品の版(IsVersionOf),作品の翻訳(IsBasedOn),本の章(IsPartOf),データセットからイメージへの機械的変換(IsFormatOf)がある。相互利用性を得るために情報資源間の関係を表す値については,一連のワークショップにおいて現在定義が進められている値のリストから選択して与えることが推奨される。

  14. 対象範囲(空間的・時間的)
    ラベル:Coverage
    当該情報資源の知的内容に関する空間的(地理的)あるいは時間的特性。空間的範囲は物理的な範囲(たとえば天球の一部)を表す。この場合,座標(たとえば,経度と緯度),統制語リストの中から選ばれたあるいは完全な名前で表された地名を用いる。時間的範囲は当該情報資源が表している内容に関する時間的情報を表すものであり,情報資源の作成や公開に関する日付ではない。(後者はDateエレメントで記述すべきものである。)この場合,次の形式で表すこと。Dateエレメントと同じ日付と時間(期間である場合が多い)に関する形式[(ISO8601に基づく)日付と時間の形式,W3Cテクニカルノート,http://www.w3.org/TR/NOTE-datetime],統制語リストから選んだ時間区間記述,あるいは時間区間の完全な記述。

  15. 権利管理
    ラベル:Rights
    権利管理に関する声明文,権利管理に関する声明文へのリンクを表す識別子,あるいは当該情報資源の権利管理に関する情報を提供するサービスへのリンクを表す識別子。

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