Internet Public Library への取り組み

永森 光晴, Lee Wonsook, 阪口 哲男, 杉本 重雄, 田畑 孝一
図書館情報大学
〒305-8550 茨城県つくば市春日1-2
E-mail: {nagamori, wonsook, saka, sugimoto, tabata}@ulis.ac.jp

概要

Internet Public Library(IPL)は1995年にミシガン大学のSchool of Information(SI)での授業 をきっかけに始められた、インターネット上に公共図書館的な機能を実現しようというプロジェクト である。これまで本学とミシガン大学のSIが共同研究を行なってきた経緯から、今年度より本学で はIPLのミラーサイトを始め、またアジアのインターネット上の情報資源を対象としたIPL(IPL‐ Asia)の構築を始めた。本稿では、IPL‐Asiaでのメタデータ作成方法とメタデータの記述規則、そ してIPL‐Asiaを構成するツールについて述べる。

キーワード

Internet Public Library、サブジェクトゲートウェイ、メタデータ、多言語文書

Towards an Internet Public Library at ULIS

Mitsuharu Nagamori, Lee Wonsook, Tetsuo Sakaguchi, Shigeo Sugimoto, Koichi Tabata
University of Library and Information Science
1-2, Kasuga, Tsukuba, Ibaraki, 305-8550, Japan
E-mail: {nagamori, wonsook, saka, sugimoto, tabata}@ulis.ac.jp

Abstract

The Internet Public Library (IPL) began in a graduate seminar in the School of Information at the University of Michigan in the winter of 1995. Since the University of Michigan and ULIS have been doing joint research collaborations, we have set up an IPL mirror site in our library since last summer. And we began to build an IPL for the internet information resources of Asia (IPL-Asia). This paper describes the metadata creation method in IPL-Asia, its metadata schema, and the tools that constitute IPL-Asia.

Keywords

Internet Public Library、Subject Gateway、Metadata、Multilingual document

1. はじめに

 Internet Public Library (IPL) は、1995年にミシガン大学School of Informationでの授業を きっかけに始められた、インターネット上に公共図書館的な機能を実現しようというプロジェク トである[1]。IPLは単なるインターネット上の情報資源へのリンク集ではなく、児童図書の閲 覧や参考サービスなど様々なサービスが提供されている。2001年2月現在で、IPLには約34,000 件の情報資源や参考サービスに関するデータが収録されている。

 これまでミシガン大学のSchool of Information や図書館と本学との間で共同研究を行なって きたことから、今年度より本学附属図書館においてIPLのミラーサイトを始めた[2]。このよう な背景から、学内特別研究推進経費の補助を得てインターネット上の公共図書館に関する研究を 行なっている。そのような研究に関連して、アジアにおけるインターネット上の情報資源を対象 としたInternet Public Library(IPL‐Asia)を構築することになった。

 IPLの機能は、様々な情報資源へのゲートウェイ機能と参考サービスの2つに大別できる。IPL ‐Asiaでは、まずアジアの情報資源を対象としたゲートウェイ機能の構築から始める。本ゲー トウェイは、ミシガン大学IPLと同様に、幼児向、ヤングアダルト向、教育、図書館などに関 する情報資源に関するメタデータを作成・分類し、利用者に提供する。ミシガン大学IPLのメ タデータは英語のみで作成されているが、アジアの情報資源を対象とした場合、情報資源を記述 している言語は、日本語、中国語、韓国語、タイ語など様々である。そこで、IPL‐Asiaでは、 利用者により多くの情報資源を提供するための試みとして、一つの情報資源に対して様々な言語 でメタデータ作成する。

 本稿では、IPL‐Asiaにおけるメタデータの作成方法とメタデータ記述規則、そしてIPL‐Asia を構成するためのツールについて述べる。

2. IPL‐Asiaにおけるメタデータ作成方法

 IPL‐Asiaではアジアにおけるインターネット上の情報資源を対象とする。IPL‐Asiaでは、 利用者により多くの情報資源を提供するために、一つの情報資源に対して複数の言語でメタデー タを作成する。本学には中国や韓国からの留学生が数多く在籍していることから、まず日本語、 中国語、韓国語で記述されたインターネット上の情報資源を対象に、それぞれの情報資源に対し て日本語、中国語、韓国語でメタデータを作成する。しかしながら、一人のメタデータ作成者が 日中韓全てのメタデータを記述することは難しいので、IPL‐Asiaでは日中韓それぞれの言語 を理解する複数のメタデータ作成者による協調作業によってメタデータを作成してゆく。メタデ ータ作成者間の共通言語としては日本語を用いる。以下はIPL‐Asiaにおける、メタデータ作 成の大まかな手順である。

1) 情報資源の収集を行なう。

2) まず、情報資源の記述に用いられている言語を母国語とする人がメタデータを作成し、 データベースに登録する。

3) データベースに蓄積されているメタデータに対して、複数のメタデータ作成者が共同で 当該情報資源を記述している言語以外の言語でメタデータを作成してデータベースに登 録する。

 例えば、韓国語で記述された情報資源の場合、まず韓国語を母国語とする人が情報資源を探し、 韓国語でメタデータを作成しデータベースに登録する。その後日本語のメタデータ作成者はデー タベースを調べ、日本語でメタデータを作成して蓄積する。中国語の場合のメタデータ作成も同 様に行なう(図1参照)。

メタデータ作成方法
図1 メタデータ作成方法

3. IPL-Asiaで用いるメタデータ記述規則

 IPL-Asiaで用いるメタデータ記述規則は、Dublin Core Metadata Element Set[3] とIMS[4] を基に作成している。以下にIPL‐Asiaのメタデータ記述規則の要素を示した。

 IPL‐Asiaでは、上に挙げたそれぞれの要素に対して日本語、中国語、韓国語でメタデータ を作成する。メタデータの記述形式は、多言語に対応していることや、メタデータを様々な形式 に変換して利用するためのツールが整っていることから、Unicodeを用いてXML形式で記述し 蓄積する(図2)。IPL‐Asiaのメタデータでは、複数の言語での記述が同じメタデータの要素 を指し示していることを表す必要がある。そのため、図2に示したように、一つの要素の中で langstringサブエレメントを用いてグループ化し、xml:lang属性で言語を明示して複数の 言語を並べて記述する。

メタデータのサンプル
図2 メタデータのサンプル

4. IPL‐Asiaを構成するツール

 IPL‐Asiaを構築するためには、多言語に対応したメタデータの表示と検索をする機能、メ タデータを管理する機能、そして複数のメタデータ作成者の協調作業によるメタデータの作成機 能を備えたツールが必要である。また、BUBL 5:15と同様に、利用者に提供する情報資源のメ タデータの精度を高めるために、一つのカテゴリに分類するメタデータ数を制限することが必要 であると考えている[5]。以上の機能を実現するために、IPL‐Asiaは以下のツールから構成さ れる。

(1) メタデータブラウザ
利用者がWebブラウザを介して情報資源のメタデータをカテゴリ別ごとに閲覧するため のプログラム(サブジェクトゲートウェイ)。多言語による表示にも対応する。

(2) メタデータ検索
利用者がIPL‐Asiaに登録されているメタデータを検索するためのツール。

(3) メタデータデータベース
情報資源のメタデータを蓄積し管理するためのDBMS。既存のリレーショナルDBの利 用やXML文書の構造をそのまま格納できるデータベースの利用なども検討したが、多言 語への対応や開発プラットフォームの問題から、現在はJavaとサーブレットを用いて作 成したプログラムを利用してXML形式で記述したメタデータを蓄積し管理している。

(4) メタデータエディタ
複数のメタデータ作成者の協調作業を支援することができるメタデータエディタ。遠隔地 からメタデータの作成を行なうことも考慮し、Webブラウザをインタフェースに用いる。

(5) カテゴリ分類支援ツール
一つのカテゴリに分類されているメタデータ数が多くなった場合に、カテゴリ分けの支援 をするためのツール。

これらツールでは、メタデータをXML形式で記述していることから、XSLTスタイルシート 利用してメタデータの閲覧画面やメタデータ作成画面の生成をおこなっている。

5. おわりに

 本稿では、本学におけるIPLへの取り組みである IPL‐Asiaの概要を述べた。現在は、メタ データエディタとIPL‐Asia閲覧用インタフェースのプロトタイプが完成している。今後は、 実際に日本語、中国語、韓国語でメタデータの作成を行なう予定である。近日中にIPL‐Asia の試験運用を開始し、メタデータスキーマの検討、メタデータエディタや閲覧用インタフェース の改良を行なう。

参考文献

[1] The Internet Public Library. http://www.ipl.org/

[2] IPL のミラーサイト. http://ipl.ulis.ac.jp/

[3] Dublin Core Metadata Initiative. http://dublincore.org/

[4] IMS Meta-data Working Group. http://www.imsproject.org/metadatateam.html

[5] About BUBL 5:15. http://link.bubl.ac.uk/about515.htm