学研都市におけるB−ISDN実験について

古寺 重実、松本 宏
新世代通信網実験協議会(BBCC)
〒619-02 京都府相楽郡精華町光台1−7 けいはんなプラザ ラボ棟11F
Tel.0774-95-5150, Fax.0774-98-2216

概要

B−ISDNは一本の通信回線で、音声、文書、映像、データ、等の多種多様な情報を 同時に伝送できるマルチメディア性と既存のISDNの100倍の伝送容量を持ち、ハイ ビジョン伝送も可能な大容量性・高速性を持った次世代の情報通信インフラストラクチャ である。

新世代通信網実験協議会では平成6年7月8日から日本で最初のB−ISDNを使用し たアプリケーションの利用実験を開始した。この実験ではB−ISDNの社会的実用性の 実証や普及啓発を行っていくとともに高度情報社会に必要な新たなアプリケーションの創 造・発掘を行っていきたいと考えている。

今回は現在取り組んでいる各アプリケーション利用実験の概要について紹介する。

キーワード

BBCC、B−ISDN、マルチメディア通信、次世代通信網

B-ISDN application experiments in Kansai Science City

Shigemi Kodera, Hiroshi Matsumoto
The Association of Broadband-ISDN Business chance & Culture Creation(BBCC)
Address:Keihanna Plaza, 1-7 Hikaridai, Seika-Cho, KYOTO 619-02, JAPAN
Phone:+81-774-95-5150 Fax:+81-774-98-2216

Abstract

B-ISDN, a revolutionary information and telecommunication infrastructure for the next century, is capable of simultaneously transmitting multimedia information composed of sound, image, text and HDTV signal. Its transmission capacity is 100 times that of N-ISDN.

The Association of Broadband-ISDN Business chance & Culture Creation(BBCC), the first Japanese organization to conduct application research and experiments in B-ISDN, opened its laboratory to the public on July 8th, 1994. Through its activities, the BBCC promotes B-ISDN and proves its social utility, while developing and experimenting with new applications indispensable to a fully advanced information society.

In this talk, the outline of application projects is introduced.


1.はじめに

新世代通信網実験協議会(BBCC)

Association of Broadband-ISDN Business Chance & Culture Creation

2.実験計画の基本的考え方

1) 基本理念

次世代の中核的インフラストラクチャーとなるB−ISDN及び最新の開発技 術等を利用したアプリケーションを創造・実験し、21世紀の高度情報化社会の 実現と多極分散型国土形成の促進に寄与する。

2) 実験の内容

1 高度情報サービスの市場開拓に結びつく実験

2 ニーズ開発に結びつくアプリケーションの実験

3 ネットワークを含めた総合的な実験実施により実用化にともなう技術開発課題の探索

4 高度情報普及促進のための情報提供、技術支援、普及啓発に関する事業

3.実験推進体制

パンフレット参照

4.B−ISDN実験網の構成

パンフレット参照

5.実験の進め方

実験期間は全体で10年間を計画しているが、これを以下の3段階に分けて進める。

1) 第一期:普及啓発段階

B−ISDNに関する標準が未だ全て確定していない段階であるので、B− ISDNに関する理解を得るための普及啓発段階と位置づける。

2) 第二期:実証実験段階

ATM専用網が実用に供される段階となっている可能性があることから、広 域的で実証的な実験を展開する。

3) 第三期:本格導入段階

ATM交換サービスが展開される可能性もあることから、本格的な実用実験 を行うべき段階と位置づける。

6.具体的な実験展開

1) 実験推進の基本的考え方

・多数のアプリケーション実験を実施

・会員共通アプリケーション、特定アプリケーションの両方で普及・啓発を推進

・ビッグプロジェクト、主要施策と連携しイベントを展開

・実験室を設け、常時、利用研究を実施

・豊富な情報交流の展開

2) アプリケーションテーマの分類

1 会員共通のアプリケーション :普及啓発に重点をおいたテーマ

基盤ネットワークを使用して会員共通の経費で運営するアプリケーション

・関西圏のビッグプロジェクトのイベントとタイアップ

・常設のけいはんなプラザ実験室での展示・デモ・体験

2 特定アプリケーション :ビジネスチャンスの開拓に結びつくテーマ

基盤ネットワークを使用して参加会員の共同負担で開発・実験

7.アプリケーションの種類

1) 会員共通アプリケーション

1 大画面ハイビジョンを用いた多地点間シンポジウム中継等の研究

2 マルチメディアによる情報サービスの研究

3 市民ギャラリーの研究

4 環境映像の研究

5 マルチメディアの在席多元会議

2) 特定アプリケーション

1 高速LANの研究

2 サテライト電子編集・印刷の研究

3 遠隔対話型CGによる住宅設計システムの研究

4 電子カタログを用いたマルチメディア通信販売の研究

5 リモート&ハイタッチな教育システムの研究

6 HDTV映像を用いた多地点館シンポジウム、イベント等の研究

7 医療の遠隔診断支援の研究

8 電子図書館

9 マルチメディアDB遠隔検索応用〈電子魚図鑑〉

10 広域マルチメディア情報システム

11 マルチメディアエンタテイメントサービス〈統合デジタルカラオケ〉

12 B−ISDNを活用した研究拠点館の協調研究

13 新メディア遠隔教育システムによる遠隔教育実験(仮称)

8.電子図書館に関する取り組み

1) 目的

将来の電子図書館等に活用できるマルチメディア電子ファイリングシステム について技術的アプローチを行う。

2) 計画内容

マルチメディアデータベースと高速ネットワークを用いた情報検索サービス の有効性の確認。

3) 参加企業

関西電力、東芝、NTT、日立製作所、富士通

4) 具体的実験内容

1 関西電力

原子力発電の仕組みと安全性に関するマルチメディアデータベース(静止 画像、動画像を含む)からの検索についてヒューマンインタフェース処理の 実験を行う。

2 東芝

フルテキスト検索、イメージデータの高速・高品質・高精彩表示、ワーク フロー管理等についての実験を行う。

3 NTT/富士通

マルチメディア情報を含んだ一次情報(図書の原文)の検索・参照処理、 知的検索、HDTV静止画の高速遠隔検索・表示等について実験を行う。

4 日立

資料検索方法、資料の原文表示方法、ネットワークとの接続性について実 験を行う。

9.今後の取り組み

1) アプリケーションの充実及び拡大

1 既存アプリケーションの充実・拡大

2 新規アプリケーションの開拓・創出

2) B−ISDN実験の広域展開

1 NTTバックボーンNWとの接続

2 情報通信基盤整備関連プロジェクト等との連携

3 外国企業との共同実験

3) 普及啓発活動のより一層の推進

以上